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和田憲明


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役者の実力と脚本の良さ。二つの力が絡み合っていい芝居はできあがる

「一年中、ずっと演出をしていたいんです」

ウォーキング・スタッフはベテラン演出家である和田憲明による舞台をおくり続けているプロデュースユニット。結成当初からしばらくは和田自身の作品を演出して上演していたが、やがて外部作家の作品を和田が演出する形になり現在に至っている。


インタビュー写真

――― タッグを組む作家には蓬莱竜太をはじめとして、田村孝裕、野木萌葱、牧田明宏など、現在の演劇シーンで注目されている作家が並んでいる。それは意識してのことなのか。

「自分は酒も飲まないので、日本のドラマや映画、舞台も含めて関係者との交流範囲も狭いし、作家さんの知識も少ないんです。だから周りの人間からいろいろな情報もらうわけですが、野木さんはネルケプランニングさんからプロデュース公演を頼まれて台本を探している時に(彼女が主宰する)パラドックス定数さんの脚本が入っていたんです。蓬莱くんや田村くん、牧田くんなどはTHEATER/TOPS(シアタートップス)でスタッフをやっている時に知りあったんです」

――― THEATER/TOPSは東京・新宿にあった小劇場。2009年に閉館となったのだが、それまでの24年間で数々の劇団が巣立っていった重要な劇場だ。

「昔、トップスのスタッフをやっていて、劇場の杮落としで声をかけられてからずっといました。あそこはもともと喫茶店からはじまったところで、凄く面白い支配人がいて、そのワンマン体制でした。その支配人も喫茶店のウエイターだった(笑)。でもそのうち彼が他の事業に呼ばれたもので、彼がやっていた新しい劇団を探す仕事が滞っていました。それを僕が担当するようになり、劇場に来ていた資料を片っ端から観ていたら、意外に良い素材が埋もれていました」

――― そんな作業の中で出会った劇団の一つが、今回公演「さよなら西湖クン」でタッグを組む蓬莱竜太が座付き作家として参加するモダンスイマーズだった。

「蓬莱くんたちにトップスに出てもらえるようお願いしたのも自分です。もう既に小劇場界で知る人ぞ知る状態になっていて、中野に観に行きました。「デンキ島」でしたがいい芝居で、センスがいいなあと思ったのですぐお願いをして。そこからの縁です。でも蓬莱くん本人とは直接話したことはあんまり無くて、「304」で彼と組んだときくらいですかね」

――― 今回上演する「さよなら西湖クン」も2006年にトップスにて上演されているが、このときは蓬莱自身の演出だ。その後、劇団EXILEの若手公演で和田の演出によって上演。そして今回へと繋がってくる。

「蓬莱くんの脚本で僕が演出をするのは「304」も含めて3回目になりますね。他の作家さんもそうだけど、作品を観ていて、いい脚本だなと思ったものを、僕なりに作り直してみたくなる。そんな作品を選ぶことが多いです。あとは優れた海外の作品ですね。これも充分な知識が無いと見つけるのが難しいのですが、しかも相手側から一切手を入れないでくれという条件ではやらないようにしているので、余計に探すのは大変です。」


インタビュー写真

――― 今度の作品については具体的なプランが見えているのだろうか。

「まだ解らないですね。本質は変わりませんが細かい部分で変えてみたいなあと思います。もうすこし生活感が増えればいいかな?とか。蓬莱くんからもそこは任されているようなので」

――― では和田を惹きつけた蓬莱作品の魅力はどこにあるのかを聞いてみた。

「最初に彼の作品を観たときに、脚本以前にとにかく芝居が良かった。つまり彼の脚本を元に役者達が凄くいい芝居をしていたんです。役者がいい芝居をすると、(観客も役者に感心して)物語も安心して楽しめる訳で。そして改めて脚本を読み直すと、やはりよくできている。会話も自然にできるように書かれているんです。脱線を含みながら進む日常会話ですね。いかにもではなくね。それは凄いことだと思います。自分も昔書いていましたからわかりますが、頭の中で想像して書いているのに、実際に役者が活き活きと会話できる脚本なんてなかなか書けるものじゃなかったです。田村くんの脚本にも同じ印象があります。自分は役者の力と脚本の完成度は絡み合って結果が出ると思います。
 例えば90点の役者達なら、60点の台本でも良い作品に仕上がると思います。でも50点以下の台本はダメですけどね。そして彼らが80〜90点の台本で演じたら傑作になります。逆に90点の台本を50点の役者がやったらそれでもなかなかいいなあというところまではいく。だけどそこまででしょうね。蓬莱くんの脚本は完成度が高いからこそ役者もよく動く。そして安心して楽しめるのだと思います」

――― もう一つ。和田と言えば「厳しい」演出家という評判がある。それと同時に和田の舞台を経験することは、役者の成長にも繋がるという印象もある。

「正直、役者を育てることに興味は無いんです。ただ公演でともかくいい芝居をして欲しいので、稽古したり話す機会は多くなります。公演に向けて役者を探す時、面談で若手にもベテランにも「どうしてもして欲しい芝居、演技があるのでそこだけは譲れない」ということは伝えます。ベテランだとしてもそこが欠けている、ズレがある役者もいるわけで、それを埋める作業をたとえ公演中でもやってしまう。そんなところが傍から見て厳しく見えるのかも知れません。ただ自分の芝居を良くするために必死なだけです」

――― 公演の合間には若い俳優向けにワークショップやリーディングを開催していることはどうだろう。

「基本的に、自分は一年中できることならずっと演出していたい人なんです。芝居に関わっていないと単なる変なオジサン以外のナニモノでもない(笑)。ただそれほど演出する機会は作れないので、暇しているのが嫌だから、ワークッショップ的なことをしたり、リーディングとかオムニバス公演をやったりする訳です」

――― では和田の言うところの、譲れない部分とはどういうことだろう。

「簡単に言うと、演技・ドラマという表現は「自由」と「決め事」の両立だということ。活きた芝居はその二つが両立しないといけない。しかも自由がかろうじてでも勝ってなきゃいけない。つまり決めごとが見えちゃいけないわけです。だから「いい演技」とか台詞が上手いとかは観ている間は思わせちゃいけない。そうした決め事が表面に見えないように演じてくれて、初めて観客は安心して楽しめるんです。観客はドラマを役者を通して観るものですから。役者はそれを実践するのにはいわゆる演技力、コツが要るわけですが、それをいかなる時でも駆使できることですね。役柄が本人の延長でないといけないわけです。
 そして本人に見えないといけない。自分は外国映画が好きなんですが、外国のいい役者はそこができてます。チンピラでもサラリーマンでも。どんな役柄でも本人に見えるようにできる。つまりなりきってる。それが本来役者のあるべき姿だし、自分はそこに感動して役者の凄さを尊敬してますから」


(取材・文&撮影:渡部晋也)


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PROFILE

和田憲明(わだ・けんめい)のプロフィール画像

● 和田憲明(わだ・けんめい)
大阪府出身。1984年に劇団ウォーキング・スタッフを結成。その後1998年の第26回公演『REDRUM』までの全作品を作・演出。並行してTHEATER/TOPSのスタッフとして数多くの劇団を同劇場に招致する。1999年よりプロデュース公演に移行。同年発表した『SOLID』で第7回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞。その後も演劇界で注目される蓬莱竜太、田村孝裕、野木萌葱、牧田明宏、池内風などの作家との組み合わせや海外戯曲の演出の舞台を手がける。
 またリーディング公演など、和田にとって新たな試みにも積極的に挑戦し、2015年には、ベストセラー「嫌われる勇気」を戯曲化・演出した作品も各方面から好評を博した。読売演劇大賞では『SOLID』以降も、2014年『304』(蓬莱竜太作)で優秀演出家賞。2016年『三億円事件』(野木萌葱作)で優秀作品賞。2017年『怪人21面相』(野木萌葱作)で優秀作品賞、優秀演出家賞を両部門においてダブル受賞している。

公演情報

「「さよなら西湖クン」」のチラシ画像

「さよなら西湖クン」

2019年8月16日 (金) 〜2019年8月25日 (日)
下北沢 小劇場B1
HP:公演ホームページ

28名限定!4,000円(全席指定・税込)→ 【指定席引換券】3,500円さらに400Pゲット!(8/6 17時55分更新)

詳細はこちら

「「さよなら西湖クン」」のチラシ画像

「さよなら西湖クン」

2019年8月16日 (金) 〜2019年8月25日 (日)
下北沢 小劇場B1
HP:公演ホームページ

前売:4,000円
(全席指定・税込)

詳細はこちら